作業工程
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通常は以下の通りに行われます。
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塗料の成分 |
塗装した最終塗膜が塗料の役割を果たしますが、そのキーポイントは塗料成分の樹脂にあります。
塗膜となる成分(固形分) |
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顔 料
塗料に色を着けたり、塗膜に厚みをもたせたりする為に使用されます。
●着色顔料 ●さび止め ●体質顔料 その他の特殊機能顔料 |
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樹 脂
塗膜を形成するうえで主となる原料です。
●油類 ●天然樹脂および加工品 ●合成樹脂 ●架橋材・硬化剤等
アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッソ樹脂など |
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添 加 剤
塗料、塗膜を安定させるためや、使いやすくするために使用されています。
●顔料分散剤・その他改質剤等
塗料中の顔料の沈降防止・粘度調整・色分れ防止・塗膜の柔軟性付与など、
いろいろの改質を目的に添加されるもの |
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塗膜にならない成分 |
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溶 剤
樹脂を溶解し流動性を与えるために使われるものです。
●有機溶剤・水
石油系混合溶剤、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、酢酸プチル、水など |
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塗装材料 |
外壁材
外壁材は水性系と溶剤系に分類されますが、従来は溶剤系が耐久性に優れているとされていました。
最近は水性も溶剤も耐久性に格差がなくなりつつまります。一般の方々はこれにこだわる必要もないと思います。
こだわりは主成分である樹脂に置くと良いでしょう。
樹脂は塗装の膜を作る重要な要素です。それらを分類すると下記の様になります。 |
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シーラー剤の種類
下塗材のシーラーには水性系と溶材系があり、その役割は吸込止め効果・アルカリ押え効果・密着力の向上です。モルタル壁の塗装でよく使用するフィラーは水性でシーラー機能を兼ね備えた下地調整材で下地を滑らかにする高粘度の性状をしています。外壁の素材やその状況に適した下塗り材の選定を致します。 |
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【溶材】
エポキシ系
シーラー |
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【水性】
微弾性フィラー
下地調整材 |
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鉄部
金属は空気中の酸素を取り入れて錆びます。この酸をシャットアウトする役割が錆止め下地材です。
従来は鉛入りの鉛により酸の発生を遅らせていました。現在も同様ですが、エポキシ樹脂系の錆止め材が主流です。又、金属に塗料が良く接着する様、エッチングプライマーも使用される様になり、アルミ材にも塗装出来ます。
屋根
トタンとコロニアルでは材料は違いますが、トタンは鉄部と同様に錆止め下地材を使用します。
上塗り材の主成分は合成樹脂系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系があります。コロニアル等のスレート系には外壁と同じくシーラーを塗布した後の上塗り材としてアクリル系、ウレタン系、シリコン系の上塗り用の樹脂塗料があります。
木部
一般的にウレタン樹脂系や合成樹脂調合ペイントを使用しますが、希釈にシンナーかボイル油で耐久性の違いが出ます。
シンナーは木部に浸透しないで表面だけで乾燥してしまいます。
ボイル油は蒸発しにくく、空気を含みながら高温を発生し、酸化しながら硬化します。つまり乾燥が遅いために木部に浸透する時間があります。木材は四季を通じ雨水や温度により伸縮運動をしており、その運動についていかないと塗装は剥離を起こします。
浸透していれば比較的運動についていけるのです。ボイル油は植物性で艶があります。艶の無い塗料ではキシラデコールがあります。浸透性で木部の模様も出す事が出来、腐食剤も含まれています。
なぜ木部の塗装は剥がれやすいか!
木は水分を含み気候、温度、湿度の変化により絶えず吸収、放出しているからです。
1)膨張、吸縮に追随出来ない塗膜(表面だけに塗装) |
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(2)膨張、吸縮に追随出来る塗膜(内部に浸透した塗装) |
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オイルステン
木部の木目を出すために新築時に利用されます。塗料でなく着色を目的とした顔料です。
ニス
外部にはウレタンニスを使用し、和ニスは内部用として別けて使用します。
アク洗い
白木がシミや汚れで変色した場合、苛性ソーダーで洗い出し、薬焼けするのでシュー酸で漂白して白木に戻す作業です。ニスが塗られている場合は剥離材でニスを落とします。水で洗い出し乾燥するという作業を何回か繰り返して行い非常に手間のかかる作業です。
シンナー
一般には塗料の希釈材として使用されている塗料シンナーです。
OP
オイルペイントの略称です。油性の樹脂ペンキで、木部にも、鉄部にも使用される溶剤系のペンキを総称していいます。
OS
オイルスティンの略称です。
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下地処理 |
塗装は下地調整で決まります。下地調整とは文字どうり塗装を行う際の下処理です。表面に出ない部分手抜きの行われ易い工程です。この作業の出来が、後の仕上がりに大いに影響します。
その内容
外壁の場合、洗浄機でホコリ、汚れ、藻、コケ、カビ等を洗い流し、清掃な面にします。外壁の不具合箇所を適切な工具を用いてケレン除去した後、シーリング処理します。欠損箇所は修製剤を用いて補修します。
強化剤の約割
下塗りのシーラー剤は在来下地の強化(中性化→アルカリ性化)、上塗り塗装の接着を促進し、防水、剥離を防ぐ等の役割を負います。外壁の素材に適した下塗り材の選定を致します。
ケレンの種類
木部、鉄部は適切な工具を用いてケレンを行います。ケレンには以下の種類があります。
『二種ケレン』
現在付着している旧塗装膜及び錆を完全に落とす。
『三種ケレン』
器械(サンダー等)を使用。活膜が多少残っても良い。
『四種ケレン』
手作業でペーパーや皮スキ等で死膜を落ちる所まで落とす。
一般の住宅は三種、四種ケレンを行います。
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塗装の知識アレコレ |
クラックの原因
クラックは新築2〜3年で出来ます。良く質問を受けますが決して工務店、大工、左官屋さんの手抜きではありません。
コンクリートやモルタルに含まれる砂に原因があります。川砂を利用出来れば問題はありませんが、環境保護の立場から川砂の採取は制限され、ほとんどが、海砂が用いられる様になりました。川砂はアルカリ性ですが海の砂は酸性です。いくら洗浄しても酸は残留します。外壁に利用されるモルタルやコンクリートはアルカリ性です。これらが砂と他の成分と混ざり強く結合して固まります。
そこに弱酸性の砂が混じるとひび割れの現象、すなわちクラックが発生します。
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ヘアークラック
外壁に出て来た髪の毛ほどのひび割れを総称しています。ここから雨水が浸入してクラックを広げ、家の寿命を縮めます。このクラックが交差してくると傷みの進行を早めます。
中性化
1cmのモルタルが中性化するのに10年かかるとすれば、海砂の場合、その3分の1や2分の1と中性化する時間を早めると言われています。
中性化から酸性へと進行すればどんどん風化して外壁はもろくなります。
酸性雨
近年は中国からの偏西風にのり、酸性雨の濃度がますます濃くなり一説にはオレンジジュースに匹敵する濃度の時もある様です。この様に外壁に対する環境は決して良い状態とはいえません。
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